こんにちは!
香港の橘拓也(たちばな たくや@TMax2525)です。
世界の金融都市香港。
タックスヘイブンの香港。
香港は海外企業、投資家にとって資産運用を行う上で各段に有利な低税率がある都市のひとつです。
国際金融センターの香港がどのようにして低税率を可能にしているのか、その背景について今回はお話したいと思います。
はじめに~香港の税制
一国二制度を持つ香港では、財政は中央政府から独立しています。
香港基本法において、香港政府は独自の税制のもとに徴税を行い、低税率政策を維持することが掲げられています。
ここで、数字を把握するために、香港の税率を確認し、日本の税制と合わせて比較してみたいと思います。

日本では課税される以下の税金の種類は、香港の税制では課税されません。
・消費税
・キャピタルゲイン税
・贈与税
・相続税
・住民税
香港のこの魅力ある税制が外国人が香港を拠点に投資する大きなインセンティブになっています。
香港に暮らす私自身も、先物金融商品、保険金融商品、など投機や投資をしています。
そこから得られる利益には課税されることがなく、十分なメリットを享受しています。
後ほど述べますが、自分のことは自分自身で守らなければいけないという考え方が根本にあるので、積極的に自分自身で投資を行い、資産運用と資産管理をする必要があります。
その為の環境と制度も整っています。
低税率政策は香港の返還前も返還後も同様に一貫して行われています。
低税率政策を行うことにより、政府の介入を最小限にし、民間企業の自由経済活動を促す、ということが理念にあります。
香港政府は低税率にも関わらず、財政収支は一貫して黒字を維持してきました。
香港政府はどのようにして財政の黒字を保っているのでしょうか。
「小さな政府」政策
香港政府の財政支出が低い
政府支出の公的部門の支出はGDP比20%を超えてはならないとされています。
1973年から2018年の香港政府支出(GDP比)の平均は9.5%です。
参考の為に日本の政府支出(GDP比)をみると、1980年から2018年の平均は20.4%です。
※資料:CEICのデータから抽出
社会保障に関する支出が低い
日本にあるような公的医療制度がなく、年金制度も近年まで導入されてきませんでした。
その年金制度にあたる、強制積立金制度(MPF, Mandatory Provident Fund)が導入されたのは、2000年12月のことです。
今回の記事ではMPFに関し、詳しく触れませんが、MPFとは香港在住の外国人も対象で、企業と従業員がそれぞれ資金を供出し、年金を積み立てていく年金制度です。
MPFは日本の年金制度と大きく異なり、民間の保険会社、銀行、保険代理店を通じて加入します。多くの場合企業が契約している保険会社があります。
保険会社が扱っているファンドをファンド資料やパフォーマンスを自分で調べて、アグレッシブ、安定、など自分の投資ニーズに合わせて自分でファンドと割合を選びます。
将来の年金も自分で選ぶことができるこの制度は、自分の身は自分で守るという理念を感じます。
国防費の支出負担が小さい
イギリス統治時代から、植民地におかれている状況だったので国防費の負担が非常に小さかったことが挙げられます。
返還後は中国人民軍が香港に駐留しています。ある場所にハイキングなどで出かけると駐留所の建物を見ることができます。
国防に関しては、香港基本法により、中央政府が負担しています。したがい、香港政府は国防費の支出がありません。
政府が運営する公営企業が少ない
香港の公共事業、電気、ガス、バス、地下鉄、などは公営機関ではなく、民間企業が担っています。多くは、英国系、及び、華人系(香港系)の財閥グループ企業です。
●英国系だと、かの有名なジャーディン・マセソン(怡和洋行) 、スワイヤー・グループ(太古集团)があります。
日常利用することの多い、スーパーのwellcome(惠康) 、ドラッグストアのMannings(萬寧)、また、マンダリンオリエンタルホテルはジャーディン・マセソン財閥に属しています。
キャセイパシフィック航空はスワイヤー・グループに属しています。

●華人系だと、長江グループ、新鴻基(Sun Hung Kai) 、恒基地産(Henderson Land)、新世界発展(New World Development)、などが有名です。
日頃利用しているバス会社のなかで、新世界発展の城巴 (City Bus)、 新巴(New World First Bus, 略称:NWFB)などは日常生活で馴染みのある存在ではないでしょうか。
土地関連収入が多い
イギリス植民地時代から不動産制度は現在も基本的に同じです。
この不動産制度により長期的な財政収入を保ち、香港の不動産産業は拡大し発展したと言えます。
香港の土地はイギリス統治時代から一部の土地を除いて、イギリス女王が所有し、香港政庁はイギリス女王から土地管理を任されていました。
土地管理を任された香港政庁は民間に土地のリース、売却などを行い、その土地の使用権のリースの売却益、それに対する税金を課してきました。
こうした持続的な土地関連収入により財源を確保することができたのです。
まとめ
今の香港の低税率制度があるのは、イギリス植民地時代から引き継がれてきた税制と不動産制度があるからといえるでしょう。
近年、一国二制度は中央政府の圧力を受けて揺らいでいると言われていますが、それでも、低税率のタックスヘイブン、世界金融センターとしての香港の魅力は変わらないと考えます。
香港には自分の将来に備える為の魅力ある金融商品が豊富にあります。香港という都市の特徴を生かした投資はとても有効ではないでしょうか。
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